【CFNM小説】もう一つのオトコノコノ刑(近未来編)

フクムラ
フクムラ

こちらはずっと前に書いて、発表しないまま寝かせていた小説です。

テーマとしては、近未来のディストピア小説に分類されると思います。もう一つのブログ、女性優位時代に掲載しようかと思っていたのですが、fc2ブログだとNGワードに引っ掛かりまくるので、断念していました。

今回、大幅に書き直して掲載することにしました。悪い男の子が、女性たちから滅茶苦茶厳しい性的処罰を受けるお話ですので、こっちのブログでもよいのかな……と思っています。

なお挿絵は、エーアイさんに描いてもらっています。

Chapter1

それは、2042年秋の出来事だった。
私が手塩にかけて育てた長男の雅実が、同じ高校に通う1つ上の女子先輩を強制性交した容疑で逮捕されたのは…。ただし、雅実は、家庭裁判所の〝審判〟で、犯罪事実が認められずに、処分留保となり、40日ぶりに自宅に帰って来た。

処分留保とはいえ、雅実は学校に行けなくなり、自宅待機の日々を送っていた。
あの事件以来、雅実は私たち家族とも言葉を交わすことが無くなっていた。

仲良しだった長女のひなき、次女のりなこも、彼に近づかなくなった。
私は、正直、彼をもてあますようになり……どうせ〝お迎え〟が来るなら、早く来ればいい……とまで思うようになっていた。

半年が過ぎ、事件の衝撃が薄らいだころに、突如として〝お迎え〟がやって来た。
それは、〝男性懲罰委員会〟からの有無を言わせぬ招集令状だった。ピンク色の紙に、出頭すべき日時と場所、その他の注意事項などが、細かい字でビッシリと書いてあった。

『18歳未満の未婚の男子については、母親が同伴すべきこと』という太い赤文字が目に飛び込んできた。

『被疑男性の身柄確保が困難だと予想される場合は、あらかじめ男性懲罰委員会の指示を仰ぎ、応援を要請すること。定められた時刻に出頭しない場合は、反逆罪に問われる場合があります』とも書いてあった。

私は、迷わず応援要請することに決めた。
雅実は決して大きい方ではないが、最近は暴れられると、女親の私の手に負えなくなっていたのである。

この日から、出頭日までの8日間は、絶対に雅実に悟られてはならない…2人の妹にも秘密にしておく必要がある…極度に緊張した日々を過ごすことになった。

「お母さん。お兄ちゃん、〝お迎え〟が来たでしょ」7日目の夜に、長女のひなきが2人ぶんのコーヒーを入れて私の書斎に入って来た。

「……ひなき、知ってたのね」私は驚かなかった。中学3年生のひなきは学力も優秀だが、おとな顔負けの深い洞察力を有していたからである。

「うん。でも、お兄ちゃんは気づいてないみたい」

「まさか、今ごろ〝お迎え〟が来るとは夢にも思ってないでしょうね」

「井上優実さんも、〝お迎え〟はないって、言ってたもんね」

私は、大学の後輩で、新聞記者をしており、〝男性懲罰委員会〟の動向を把握しているはずの井上優実のキラキラ光る眼を思い出した。

たしかに彼女は、今回の事件での〝お迎え〟はないと断言していた。だからこそ、私にとって(雅実にとっても)青天の霹靂だったのだ。

「りなこには…」

「もちろん、内緒にしてある。でも、その日が来ればバレちゃうよね」

私は、15歳にしてはあまりにしっかり育った長女の顔を見つめた。

「本当に、ごめんなさいね」

「いや。ママのせいじゃないから」そう言って、ひなきは残りのコーヒーを一気に飲み干した。

「明日からは私が、りなこの面倒を見るから、大丈夫よ」

私は、純真無垢な娘たちを守るためにも、雅実を差し出すことは仕方ないと思えるようになっていた。

仲良しなママと娘

翌朝7時きっかりに、〝お迎え〟はやって来た。

全員が黒のショートヘアで、黒の戦闘服で統一された〝カーリー〟(復讐の女神)と呼ばれる女6人が、有無をいわせずに雅実を寝床から引きずり出した。

おそらく雅実は、自分の身に何が起きたか分からないまま、女たちにさるぐつわを噛まされ、神輿のようにかつぎ上げられて、ワンボックスカーを改造した護送車に乗せられた。

「午前7時2分、予定どおり、執行しました」〝カーリー〟の隊長が言った。「今から、ウィメンズ・プラザビルに向かいます。お母様も同行してください」

「わかっています」私は、公権力の象徴のような黒づくめの女たちを見つめた。

この時代、〝女権革命〟によって男は参政権を奪われ、ごく一部の例外を除いて、選挙権も被選挙権も行使することが許されていなかったから、公権力とはすなわち〝女権力〟のことを意味していた。

〝カーリー〟のメンバーは、みんな若かった。隊長でさえも20歳前くらいで、一番若い子はたぶんひなきと同年代だろう。厳しい訓練を経ているに違いなく、雅実を拉致した際の動きは見事だった…。雅実は、一対一でも彼女たちに敵わないだろうと思った、

雅実を乗せた護送車は、東京渋谷にある〝ウィメンズ・プラザビル〟に向かって走り出した。

「ひなき、あとで電話かメールするからね。ちゃんと学校へ行かなきゃダメよ」

「分かってる。大丈夫よ、お母さん」

私は、ひなきの頭をなぜると、自分のBMWに飛び乗り、5分遅れで雅実の後を追った。

近未来の女性上位社会の風景

26階建で双頭タワーを持つ〝ウィメンズ・プラザビル〟は、フェミニズムの総本山である。女性起業家のための商業エリアや、ワーキングスペース、議員会館、名門女子大学、専門職大学院、生涯学習センター、各種クリニック、保育園、数々の女性活躍推進NPO本部など……女権力を維持・推進するための機能が集約されていた。(私が部長として勤務する貿易会社もこのビルに本社オフィスがある。)

眼下には〝女権革命広場〟と呼ばれる緑地が広がっており、近隣の女子大学生や、小さな子供を連れたママ友集団や、女性同士のカップルなどが闊歩していた。なお、10歳以上の男の単独での立ち入りは禁止されていた。

〝広場〟には、大小の野外ステージがあった。中でも特異なのは、通称〝血祭りのヤグラ〟と呼ばれる小ステージである。

ステージの広さは12m×12mの正方形で、何の変哲もない。だが、ここで行われているのは、アイドルのコンサートなどではなく、〝女権法〟の規定による凄惨かつ残酷なショーであった。その様子は、女性専用の動画サイトで視聴することができ、ひそかな愉しみに感じている女性も多かった。

〝ウィメンズ・プラザビル〟にクルマで行き着くためには、〝女権革命広場〟を通り抜けることになる。雅実の護送車は、〝血祭りヤグラ〟の脇に停車していた。

そこでは、10人ほどの〝カーリー〟が、金属製のパイプを運んでは受け渡したり、それらを縦横に組み立てるなどの力仕事をしていた。黒のコスチュームで統一され、機能的に働く彼女たちは、遠目には〝蟻〟の群れに見えなくもなかった。

〝カーリー〟は若く、黒髪と黒の衣装で統一している。若い女性だからと侮れない訓練された戦闘集団である。
〝カーリー〟は若く、黒髪と黒の衣装で統一している。若い女性だからと侮れない訓練された戦闘集団である。

雅実たちがクルマから降りていることが分かったので、私も護送車の脇にBMWを停車させた。

先ほどの〝カーリー〟の隊長が話しかけてきた。「すみません。雅実くんが、クルマの中で失禁したので、緊急停車したところです」

「〝りよ〟が意地悪ばかり言うから…」

隊長が非難すると、〝りよ〟と呼ばれた若い〝カーリー〟はクスクス笑いながら、「だって、本当のことを言っただけだもん。あの〝ヤグラ〟は、雅実くんを〝血祭り〟にするための舞台で、今まさに装置が運び込まれているって、教えてあげただけだもん」

「観覧チケットは、半年前に完売しているそうね」〝ユメル〟と名乗っている〝カーリー〟が言った。

「2人とも、いい加減にしなさい」隊長〝カーリー〟がやんわりと静止した。隊長は、〝ヒメコ〟という名だった。

〝カーリー〟は、職務中本名を名乗らない決まりで、全員がニックネームで呼びあった。男からの逆恨みによる加害を防ぐためだという。

(…えっ、すると今回の件は、半年前から決まっていたことなのか)後輩の井上優実は、そのことを知っていて私たちに伝えなかったのか。どうして?釈然としないが、彼女に裏切られたとは思いたくなかった。

雅実がお漏らしをしたせいで、そこからは歩くことになった。私は息子とならんで歩き、その周辺を5名の〝カーリー〟が取り巻いていた。(1人はクルマの後始末で脱落)

「お、お母さん…僕、どうなってしまうのかな…」雅実は震えていた。それでも素直に従って歩いているのは、決して逃げられないことが分かっているからだろう…。

「自分がしたことを…ちゃんと反省しなさい」それ以外に、雅実に対してかける言葉がなかった。涙が出そうになったがこらえた。

女権革命広場の噴水は、女性たちの人気スポットである。
女権革命広場の噴水。女性たちの人気スポット。

私たちは、〝ウィメンズ・プラザビル〟に裏口から入った。ビル正面は人目がありすぎる。私はほっとした。

ビル内では、雅実だけアイマスクを着用。ここは男子禁制なので、内部を見せるわけにはいかないのだ。〝カーリー〟たちは、複数のエレベーターを乗り継ぎ、わざと複雑なルートで、この女権主義の総本山を進んで行ったのである。

やがて私たちは、小さなクリニックにたどり着いた。オフィスからは離れており、私もよく知らないエリアである。

雅実のアイマスクが外された。彼は、この部屋の主である女性医師の前に引き出された。

「名前と学年は?」

雅実は、ふてくされて下を向いたまま、小声で答えた。

「きこえないわよ。高校、何年生?」

「…3年生です」

「いいわ。じゃあ、脱がして下さい」

女性医師が言うと、〝カーリー〟たちが、四方から一斉に手を伸ばした。彼女たちは屈強ではないが、鍛えられていた。雅実は抵抗できない。それに隊長の〝ヒメコ〟は、伸縮自在の特殊警棒を持っていた。特殊警棒にはスタンガンの機能がある。

私が見ている前で、息子は一枚残らず着衣をはぎとられ、生まれたままの丸裸にされた。
さすがに、ちょっとこれは、こたえた。大事な息子を、よその女に奪われたような理不尽な感覚に襲われた。

女医さん

雅実のおちんちんを見るのは、何年ぶりだろう…。小学6年のとき〝うっかり〟お風呂場で着替えているのを目撃して以来か。すると約5年ぶり。でも、アンダーヘアが生えそろった以外は、子供のころとそんなに変わらないな、と思った。

雅実と一緒にお風呂に入ったのは、小学4年生まで。雅実は小柄で発育も遅かったし、父親不在の家庭で育ったせいか、妹たちと仲良くお風呂に入っていた。ふたつ下のひなきの方が、一緒に入ることを嫌がるようになったのだった。

雅実の着衣は、プラスチックの籠に入れられ、看護師がどこかへ持ち去った。衣服にオシッコがしみているため、ビニール袋に包んで、廃棄されたようだ。

「おれの服は?」

「あなたみたいなオスには、服はいらないの」女性医師が冷たく言い放った。

ここでの雅実の呼称は、OSU-43AS098号というものだった。記号の意味は分からないが、罪の内容と、少年であることなどが分類されているようだった。

女性医師は、内野美弥子という名前だった。おそらくまだ20代前半。〝女権革命〟後の一連の制度改革により、優秀な女性のみ、飛び級を利用することで、通常より早く(おおむね10代後半から20代前半くらいで)医師や判事、弁護士、官僚になれる仕組みができたためである。

雅実は、両手で股間をつかむようにして、いじらしく大事なところを隠そうとしていた。

内野美弥子は、雅実のお尻を軽く叩き、「ほら、股を広げて、両手を床につけなさい。お尻はこっちに向ける!」

雅実は、泣く泣くそれに従った。

「からだ、かたいわねえ…」内野美弥子が、雅実の臀部から太もも付近を撫ぜまわした。

「体毛は…うすい方かな。でも、念のため、剃毛は行います」

「はい」内野美弥子には母親みたいに見える50代の看護師が答えた。

「前の晩からは、ご飯抜きにして。浣腸して排便させることを忘れないように」

「はい」

内野美弥子は、逐一確認しなければ納得しない性格らしかった。

「当日まで、睡眠はしっかりとらせて。あと入浴は直前でいいわ」

「はい」

「なにか質問ある?」

「執行予定日は来週の火曜日でしょうか」一番若い〝カーリー〟の〝りよ〟が言った。彼女はまだ10代前半くらいに見える。女子中高生の中で、身体機能が特に優れている者が〝カーリー〟組織に選抜されているという噂は本当だったようだ。

ちなみに、〝血祭りヤグラ〟での刑の執行は、毎月第2火曜と第3金曜に行われることが慣行になっていた。

「おそらくは…ね。でも私にはわかりません。上層部が決めることだから。遠宮美幸先生が海外視察中だしね」

遠宮美幸氏は、総本山の理事の一人であり、私と同い年の38歳。検察庁出身であり、法務省から総本山に出向していたが、ここでの仕事が肌にあうのか、いつしか専属理事の地位に納まっていた。

鍛えられた女戦士集団のリーダー。黒い戦闘服
〝カーリー〟のリーダーの一人〝ヒメコ〟

屈辱的な身体検査を終えると、雅実の左足首に特殊バンドが装着された。
電子制御されているらしく、グリーンのランプが点灯していた。一度装着すると、電子ロックを解除しない限り永久に外せないと言われた。

「GPS機能だけではなく、そのときの心拍数や性的興奮の有無まで測定します。性的興奮を探知すると、微電流が流れる仕組みです」

これでは、雅実の身体は女たちに完全管理・支配されたようなものだと思った。

「お母さんに質問します。雅実くん、妹が2人いますね。関係は良好ですか?」

「え、ええ、そうだと思いますけど…」

「たとえば、妹をイジメたりとか、あるいは、妹に性的な関心をよせるなど、問題行動はありませんか」

「…………」

「本当にないですか。どんな小さなことでも、隠さずに話してもらわないと困ります」

女性医師がたたみかけた。私は、雅実を更生させるためには、本当のことを報告した方がよいと思い、

「あります。長女のひなきが中学に入ったころから、よく下着が無くなるようになって、最初は洗濯物が風で飛ばされたかと思っていたのですが、そのうち、ひなきのスクール水着まで無くなって、これはおかしいということになり、調べたところ、雅実の部屋から出てきたことがあります」

雅実が絶望的な顔で私を見た。彼は、3人の〝カーリー〟に両手を後ろにまわした状態で制圧されていた。女たちの前で、丸出しのおちんちんを隠すことも許されないのだった。

「そのときのスクール水着はどのような状態でしたか」

「状態……それは、つまり……」

「マスターベーションに利用したかどうか」

「……利用していたと思います。明らかに」私は言っているうちに、ひなきの顔が思い浮かび、雅実を憎いと思う感情が芽生えた。

「あきらかに、精液のしみた跡があった?」

「はい」

「ほかにはありますか」

「ほかには……」

「あるでしょう」

「はい」

「話してください」

「あれは雅実が中学2年の夏休みの出来事です」

「やめろ!!」雅実が叫び、私の方に突進してくる素振りを見せた。

もちろん、〝カーリー〟たちが瞬時に取り押さえるので、それ以上、暴れることはできない。

5人がかりで雅実はじべたに押し倒された。仰向けに制圧され、むきだしの性器がよく見えた。さぞかし屈辱的だったろう…。だが、彼にとっての恥辱の日々は、始まったばかりだったのだ。

私は、雅実の白い裸体を眺めながら、話をつづけた、

「中2の夏だったと思います。親戚が泊りに来ました。メンバーは、私の姉、つまり雅実にとっては伯母にあたる女性と、その娘2人。当時、上の子は高校生、下の子は中学生。それに長女ひなきが当時小学6年、りなこが4年生。ひなきは、同級生のお友達を招待していた」

「女ばかりですわね」

「そうです。うちは恥ずかしながら、私も、姉も、結婚がうまくゆかず、夫とは離婚しています。親戚の中でも、この雅実が唯一の男みたいな状態でして……」

「それで、なにがあったのですか」

「思い出したくありませんが…」

「言ってください」

私は覚悟を決めて話し出した。「みんなで順番にお風呂に入ったのですが、雅実だけ男だから別に最後にするはずが、なぜか順番を割り込んできたのです。それも、まだ、ひなきたちが入っているときに。最初、大人は気づかなくて、従姉妹のお姉ちゃんたちが気づいて、雅実を出したのですが、その際に」

「性暴力があったのですね」

「…………そう、だと、思います……」私は自分でも気づかないうちに涙を流していた。

「雅実くんは、そのことについて、〝女権法〟に基づく罰を受けていませんね」

「………はい………」

「今のお話は、私から遠宮先生に報告しておきます」

雅実は、両手を腰にまわした状態で、手錠をかけられていた。屈辱と恐怖のため、はっきり目に分かるほど萎びた性器があわれだった。

今の私の話を聞いたせいか、〝カーリー〟たちの雅実に対する扱いが、乱暴なものになったと感じた。〝ユメル〟と〝りよ〟が、雅実がちょっとでも動くと、ビンタを加えていた。

「じゃあ、今日はここまで。OSU-43AS098号はもう行きなさい。お母さまは別室へ。もう少し詳しくお話を聴取する必要があります」

雅実は〝カーリー〟たちに抱き起され、ふたたびアイマスクを着用すると、ビル内のどこかにある強制収容監獄に連れて行かれてしまった。おちんちんを丸出しにしたままで…。

次に会うときは、きっともう息子ではない、と思った。

内野美弥子

Chapter2

僕は全裸のまま、長い廊下を歩かされ、当面の住み家となる収容監獄にたどり着いた。

そこは畳が2枚敷いてある狭い独房だった。奥に、小さな流しと和式のトイレが設置されていた。もちろん24時間監視カメラつきである。

ここでの看守長は、一ノ瀬莉衣という名前の女で、内野美弥子医師より更に若く、どう見ても20歳前だった。ラフなタンクトップを着ていた。

「なによ、あんた、みっともない物をぶら下げちゃって。紙パンツは?」一ノ瀬莉衣が言うと、さっきの若い〝カーリー〟がくすくす笑いながら、

「美弥子先生がこのままでいいって。オスはオスらしく、裸でいなさいって」

「ははは…美弥子先生に嫌われたか。かわいそうに」

どうやら全裸は僕だけの特別待遇であり、紙パンツすら与えないのは、僕に対するイジメなのだと分かった。が、どうすることもできない。

監獄内の空調は絶妙であり、裸でも風邪をひくことはなさそうだった。

一ノ瀬莉衣

その夜は、タオルケット一枚だけで眠った。

浅い眠りで何度も何度も目が覚めた。近い将来現実となる〝執行〟の恐怖に震えた。

深夜、僕は尿意を覚えて目を覚ました。備え付けの和式トイレに向かうと、ぱっと部屋の電気が明るくなった。

「OSU-43AS098、なにをしている!」当直の看守が言った。

「何って、トイレだよ!」

「立ってするんじゃない。言われなかったのか。ここでは立ちションは禁止だ」身長175センチはある、筋肉質で柔道の選手みたいな女が俺の手をねじり上げた。

「ここでは、こう。女みたいに、するんだよ。そうじゃないと、汚れるだろ」彼女は部屋の中央で実演するみたいにしゃがんで見せた。

彼女は、スタンガン付の警棒で武装していた。僕は、丸出しの尻を見られながら、彼女の前で排尿することを余儀なくされた。

それから3日間は、なにもやることがなく、退屈な時間が流れて行った。

食事は朝晩2食出た。朝はドライフルーツの入ったヨーグルトとパン、夜は麦飯だった。

粗末な器で、全裸で食っていると、まさに自分が人間ではなく、〝オス〟という下等な生き物であることが実感されるのであった。

4日目の午後、面会があった。母の大学の後輩で、新聞記者をしていて、昨年まで僕たち兄妹の家庭教師をしてくれていた井上優実だった。

彼女は緊張した顔をしていた。もう一人、見知らぬ女がいた。美形だが、クールで人を寄せ付けない女だと思った。これが、理事の遠宮美幸であった。

遠宮美幸

面会室は、刑事ドラマに出てくるみたいに透明なアクリル板で仕切られておらず、井上優実はすぐ目の前にいた。だが、遠宮美幸に続いて、女医の内野美弥子、年配の看護師、看守長の一ノ瀬莉衣も現れたので手出しすることはできなかった。

「俺を、だましたんだな」僕は精いっぱいの憎しみと軽蔑の目で、井上優実を睨み付けた。

井上優実はそれでひるむかと思いきや、「OSU-43AS098、そんな口をきいていいの。自分の立場をわきまえなさい」と、逆に僕を冷たい目で見つめ返した。

僕の知っている井上優実ではなかった。

井上優実

「OSU-43AS098、あんた懲罰委員会からの呼び出しを無視したんだって」遠宮美幸が言った。

「え、そんなことはないと思うけど…」

「とぼけるんじゃないよ。素直に罰を受けないのは、女権社会への重大な反逆だと受け止めるぞ」

あとで知ったことだが、井上優実が2回分の招集令状をもみ消していた。

「うるさい!」僕は叫んだ。「おれはもともと女権革命だなんて、おかしいと思っているんだ。女が威張っている今の世の中もな。男をなめるな」

それは完全に強がりだった。叫んでもどうなるものでもなかった。だが、女たちのムカつく態度に、堪忍の尾が切れたのである。

一ノ瀬莉衣が背後から僕の紙パンツ(このときは履かされていた)をつかんだ。

「こいつ、明日、執行するんでしょ、だから来たのよね」

井上優実がうなずいた。「わたしも、〝ヴィクティム〟として、サインしました」

「どういうことだ!」

「まだわからないのか」遠宮美幸が言った。「優実ちゃんはね。お前にお風呂をのぞかれたことに傷ついて、ずーっと恨みに感じていて、被害者委員会に登録していたんだよ」

やはり最初から騙されていたのた。一度だけ彼女が泊まって帰ったときに、お風呂をのぞいたことを被害申告していたのだ。

「あれは、あれは違うんだ……」

「ちがわないでしょ。くっさい包茎チンポ、しこりやがって。しねよ」

女たちが爆笑した。

「明日、午前11時執行。事前準備は、このあとすぐ行います」遠宮美幸が高らかに宣言した。

面会室のドアが開き、3名の〝カーリー〟が入って来た。〝カーリー〟は、全員が黒髪のショートヘアで、黒のウェアーで統一しているから、瞬時に判別がついた。

「や、やめてくれっ」女たちは僕を抱きかかえるように無理やり歩かせて、全員で隣の部屋に移動した。

そこは簡易な手術室みたいな部屋で、医療用のベッドと、流し台があるだけの殺風景な空間だった。

女たちは全員で俺をベッドにねじ伏せた。井上優実が紙パンツをはぎ取って、丸めてゴミ箱に捨てた。

「やめてくれ……」僕は弱々しく懇願するしかなかった。

女医の内野美弥子が、恐怖のあまり萎縮した性器を、指でつまんだ。

「うふふふふ、怖いだろう。だが、お前に性暴力をふるわれた女たちの恐怖は、こんなもんじゃないぞ」遠宮美幸が言った。

「明日の〝ヴィクティム〟は何人でしたっけ」一ノ瀬莉衣が目を細めた。

「私を入れて9名と聞いています」と井上優実。

「そんなに!女性たちのウラミを思い知るといいわ…」

「鞭は、一人20本だから180回」

「そのあとで、前立腺への電流責め90分!」

「ほかにも被害者がいたら、飛び入り参加もあるかもしれないわね…」

「なんせ、17歳はこれまで鞭打ち刑を適用した中でも最低の年齢だからね。盛り上がるだろうね」

口々に女たちが言った。

「それとも」内野美弥子が、僕の性器をもてあそびながら、「完全去勢を受け入れるなら、鞭打ちだけは免除される決まりだけど、どうする?」

「ゆるしてくれ……かんべんしてくれ」僕はむせび泣いた。

「男って、子供ねえ……」

「泣けばいいと思ってるのよ」

妹よりも幼い2人の〝カーリー〟が、心底あきれたように僕を見下ろしていた。

「そろそろ始めようか、明日の準備」遠宮美幸が言うと、待ってましたとばかり、看護師長が僕の枕元にシェーバークリームを置いた。

「見苦しくないように、今から全身脱毛をします。今夜は、食事は抜きで」

「浣腸はどうする?」

「もちろん、やります」

「執行中に粗相がないように、内臓をきれいにしておかないとね」

浣腸などと生易しいものではなく、医療用の腸内洗浄ポンプが運び込まれた。

僕の身体はもはや僕のものではなく、女たちの完全支配下に置かれたのだった。

〝執行〟まで、あと24時間を切っていた。

女性が大勢あつまるフェスティバルで男を血祭に!

※この物語はフィクションです。妄想です。実在するあらゆる人物や団体、組織とは一切関係ありません。なお、作品をまとめサイトなどに無断で掲載することは固くお断りしております(呪います)。

コメント

  1. かつ より:

    小説も良いですね。
    読み応えあります。
    続編あるんですよね?
    どんな刑が執行されるのか楽しみです。

    • 福村智雪 福村智雪 より:

      ありがとうございます。m(_ _)m

      今のところ、こちらはメインではないですが、続きは書いてますので、やがて更新はする予定です。

  2. 名無し より:

    近未来の被虐小説を読んでるようで面白かったです。
    女性たちに鞭打ち刑を受ける事を告げられた雅実が「ゆるしてくれ……かんべんしてくれ」とむせび泣くシーンが一番印象に残りました。
    続きの投稿も楽しみにしてます。
    また、当分先になるとは思いますが『ざんげの部屋』『フェミナチの拷問』の続編の投稿も期待して待ってます。

    • 福村智雪 福村智雪 より:

      ありがとうございます。たしかに、近未来の被虐小説で発表する可能性もあった作品でした。

      『ざんげの部屋』『フェミナチの拷問』も大事な作品で、忘れてはいませんよー。

  3. ヨッチ より:

    これは本当に続編が楽しみでなりません。
    特に最後の絵は、興奮をそそりますね。

    • 福村智雪 福村智雪 より:

      ありがとうございます。

      最後の絵は、お察しのとおり、この先に行われる女性多数による「血祭」を暗示しています・・。エーアイ君が描いてくれました(笑)